主人公の心の成長から元気をもらえる…!映画『百万円と苦虫女』
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ロードムービー
無理に気を使う両親、中学受験を控えた弟の拓也に責られ、「100万円を貯めたら家とこの街から出て行く」と家族の前で宣言する。
ご近所の噂や元同級生からの嫌がらせにも耐えながら懸命に街から出て行くために働く姿は拓也の心を動かし和解をするも、
100万円を貯めた鈴子は宣言通りに家から出ていく。
拓也が小学校で壮絶ないじめにあっていることを知らずに…。
レビュー・感想 ※ネタバレあり
「100万円貯まったら次の街へ…」鈴子の旅のコンセプト?がとても面白かったです。
序盤に小ネタをしこみ、観客に肩の力をぬいてみてほしいというメッセージを感じました。
ところで、通常ロードムービーというものはその土地の美しいところを全面に押し出し観客を癒しますが
そういった描写はほぼなく、海の家で働いても行っても山へ桃の収穫に行っても鈴子の曇った目からみる景色は変わりません。
意外なことに、鈴子を受け入れた街の人が変わっていってしまうのです。
彼女の過去を知らない土地での鈴子はよく働き、寡黙で美しくとても魅力的な女性だったということです。
新しい土地に来た当初の彼女は「私にはこんなことができるんだ」と小さな自信を淡々と重ねていましたが
根本的に彼女自信が変わることはなく、変わりゆく周囲に戸惑い街を後にします。
彼女の目の曇りに暖かい光がさしたのは、豊かな自然に囲まれた美しい場所ではなく、
東京に似た閉塞感のある地方都市での暮しでの恋でした。
全てを話しそれでも受け入れてくれた人に愛され、すれ違いに悩み、
鈴子は生まれて初めて人として他人と心を通わせ、少しずつ人間らしく変わっていきます。
やがて鈴子は、最大の心の支えは、かつて激しく対立し和解した弟、拓也の存在だということに気がつきます。
拓也は転校も私立中受験もせずいじめと戦うことを姉に誓います。
旅を続ける鈴子ととどまり続ける拓也。
どの土地にいても、自分自身の心の成長がなければ、自分の心は決して救えない。いいメッセージだと思いました。
どこへ行ってもきっと鈴子のようにせっせと真面目にひたむきに生きていればあなたの魅力に気がついてくれる人が
必ずいるはず、とストーリーを通じて元気をもらえた映画でした。
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