それぞれの感情が冬空の下で熱く燃える!映画『人のセックスを笑うな』
公開日:
ラブストーリー
恋に落ちる。親密になっていく2人を知り、みるめにほのかに好意を抱いていたえんちゃん(蒼井優)は苛立ちを隠せない。
幸せの絶頂であったみるめはある日、ユリが既婚者であることを知ってしまう…。
レビュー・感想 ※ネタバレあり
まずDVDで鑑賞したこと、それに後悔。
群馬県桐生市周辺というとくにものすごく田舎というわけではないけれど、駅周辺から少し離れると田んぼや畑、瓦屋根の古い民家もあり人の数よりも広々とした土地。
そんな舞台で繰り広げられる淡い恋愛模様は映画館の大型スクリーンで観るべきだったなと思いました。
美人講師と恋におちて有頂天なみるめ、自由気ままに淡々と欲望に忠実なユリ
嫉妬と閉塞感で爆発寸前のえんちゃん
それぞれの感情が、冬の大きな空の下で熱く小さく燃えている様子がとても面白かったです。
登場人物の衣装に全くと言っていいほど変化を与えないのも効果的だったと思います。
みるめ君の笑い声やユリちゃんと会っているときの無邪気に幸せそうな表情は
まさに恋する青年で、ちょっとびっくりしてしまいました。
この映画の制作から、時は過ぎてプライベートでは既に父親である松山ケンイチ。
役者としても経験を重ね、大河ドラマの主役にも抜擢されました。
さまざま経験や年を重ねたら失ってしまう青年的な表情のおかしさ、甘酸っぱさを
パッケージしたという点ではとても貴重な映画ではないでしょうか。
この映画の特徴として、長回しを多用し、演技というより役者さんのそのもの本質の良さをうまく引き出していますが
それが、だらだらとした印象を与えてしまって評価が別れてしまっているようにも感じます。だらだら感が監督のねらいだったのかもしれませんが、それがいまいち監督の本当の良さだとも思えません。
せっかく役者さんの自然な立ち振る舞いを引き出せたのだから、いっぱい考えればもっといい映画になったはず。
たとえばあがた森魚の落語家のような信玄餅の食べ方の解説はこの映画の目玉でもあるはずのラブシーンよりインパクトがありましたし、蒼井優の元気でまっすぐな人柄はいいスパイスになっていました。
個人的には少し残念な点もありますが、私は好きな映画です。
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