水の描写がとてもすばらしい!映画『夏至』
公開日:
ラブストーリー
誰にもはなせない秘密を持ち、慈しみながら生活していた。
レビュー・感想
10年以上前の作品ですが、DVDを購入して何度も観ている作品です。
この映画の水の描写がとても多くどれもすばらしいです。
愛人との情事の際しっとりと足を洗う長女。
出張から帰った夫が庭の桶から水をくみ、手や顔を洗う水音とその肩によりそう次女。
大雨の中ノスタルジックな花柄の傘をさしロングスカートでカフェに訪れる三女。
湖が静かに揺れる水面に浮かび物ふける男。
傘に当たるこもった雨音、桶から落ちる水の音。
そして序盤の有名な名場面、三姉妹の長い黒髪の洗髪のシーン。
ぽたぽたと髪の毛から落ちる水滴の音まで美しい。
そしてその横で気持ちよく泳ぐ金魚の息づかい。
兄と三女が暮らしている部屋から見る雨音とルーリードの曲のここちよいハーモニー。
これに癒されずに…なにに癒されるか…。
そこでさらに気がついたのが男性がくゆらせるタバコの煙と、線香の煙。
立ち上り、舞い上がる煙の描写は多い割にはその元となる炎はほとんど登場しません。
煙は水面のように自由で、まっすぐに舞い上がり空気の流れにそって自由に動く…。
水の流れに似ていて、心地よい画面をつくっています。
部屋には常に花がたっぷりと飾られており、庭にも大きな緑が風邪にゆれ
遠くから小鳥や犬の鳴き声、朝には子どもたちのはしゃぐ声も聞こえます。
インテリアの色合いもすばらしく、オリエンタルでここちのよい空間を演出。
物語は平坦に進んでいきますが、それすら演出のように感じる。
優しく心地よく流れる時間と映像を細部にこだわりを見せた監督の強い意志を感じる傑作だと私は感じます。
音楽もとてもいいのですが、フランスのみの発売のようで現在は入手は困難なようです。
ad
関連記事
-
ペネロペ・クルスの美しさに心奪われる..!『それでも恋するバルセロナ』
それぞれ別の目的で共にバルセロナにやってきた2人のアメリカ人女性。ヴィッキー(レベッカ・ホー
-
友情や愛情を超えた美しいつながりに感動…!映画『ONCE ダブリンの街角で』
家業の仕事の合間に、毎日のように穴の空いたギター片手にダブリンの街中で歌う青年(グレン・ハン
-
女性は感性豊かでとても強い…としみじみ思わせてくれる!映画『ストロベリーショートケイクス』
フリーターの里子(池脇千鶴)は、デリヘル店の電話受付として働いている「恋に恋している」日々。
-
ペ・ドゥナのコメディエンヌ的な一面が十分に楽しめる韓国恋愛映画!『春の日のクマは好きですか?』
美人でスタイルもいいのに、天然でがさつでなかなか恋人ができないヒョンチェ(ペ・ドゥナ) そ
-
台北で一晩起こるドタバタ劇をコミカルに展開!映画『台北の朝、僕は恋をする』
恋人がパリに留学してから一人台北に残されたカイ(ジャック・ヤオ)は毎日のように書店でフランス
-
恋愛のエゴや核心を突こうとした究極のラブストーリー!?映画『悲夢(ヒム)』
ジン(オダギリジョー)と夢遊病患者のラン(イ・ナヨン)はある交通事故をきっかけに、ジンがみた
-
それぞれの感情が冬空の下で熱く燃える!映画『人のセックスを笑うな』
舞台は群馬県。美術学校に通うみるめ(松山ケンイチ)が偶然の連続で親密になっていったリトグラフ