ナチュラル系雑誌の女性向け…?映画『しあわせのパン』
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ドラマ
レビュー・感想 ※ネタバレあり
北海道の観光地でもなんでもない広大な自然の中でコーヒーとパンのお店を開く水縞夫婦。カフェの名前は奥さんの大好きな絵本の登場人物からつけた「カフェ・マーニ」奥さんはコーヒーと季節の食材(野菜メイン)担当で旦那さんは釜でパンを焼きます。
もちろん木造で清潔感たっぷり。ランプシェードは友人のガラス工芸家の作品で無骨ではあるがであたたかみがあるのが魅力。
その二人の服装はゆったりワンピースにアイロンのかかってないけれどきれいに日の光いっぱいあびたような洗いざらしのシャツ…奥さんは美人だけれどもどこかいつも寂しそう。旦那さんは寡黙だがまっすぐでおおらかな性格。
奥さんがときおり見せるさみしい表情を気にしながらも…「無理して、笑わなくてもいいんだよ」と、自分自身で心から笑ってくれることをずっと待っていている…。
な、なにこのいわゆる「ナチュラル系雑誌の愛読者女性の夢」を「こんな感じでしょう?」と動画化した世界観。
恐ろしい。私はとてつもない息苦しさを感じました。
そもそもナチュラル系雑誌の読者は善くも悪くもプライドが高い。
一つの物を長く愛用したい願望が強いがために自分内の美的感覚が研ぎすまされている。こういう世界観を、見かけだけの知識で再現したって簡単に支持を得られるわけではありません。正直ナチュラル志向な女性で「この映画が好き!」と堂々と言わせる何かが足りなさすぎる。
ストーリーにしても3つのオムニバスを通じて妻のりえが幸せを感じる心を取り戻しますがどれもストーリーがありきたりすぎて退屈。
そして…最後の冬のお客さんのストーリーで大泉洋が吹雪の中車を運転して老夫婦を迎えに行く車内のシーンで「水曜どうでしょう」でのワンシーンみたい…とちょっと笑ってしまいそうになりました。
致命的なのは食べ物が「とても」おいしそうではないというところ。
しあわせのパンなのに!だめじゃん!タイトルでパンって言ってるんだから
「とても」おいしそうじゃないと!と思ってしまいました。
良かったところといえば…
住所を書かなくても名前を書けば郵便が届く地元の人とのつながり。
朝からおいしいコーヒーで仕事に出発できるのがうらやましい。
プロローグの原田知世の黒バックでの語り。
映画のスチール写真がとてもきれい…それくらいでした。
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