冷酷で不器用な女性シェフが次第に心を解きほぐしていく。。映画『マーサの幸せレシピ』
公開日:
ドラマ
その腕は一流だが、オーナーからはカウンセリングに行かないとクビにすると言われ週一で嫌々カウンセリングに通うほど冷酷でリーダーシップにも欠け、味にクレームを入れる客と喧嘩をするなどの問題も抱えていた。
ある日、そんな彼女を日頃気遣っていた姉が交通事故死。その娘リナ(マクシメ・フェルステ)をマーサが引き取ることになり、彼女の生活と心に変化が訪れる…。
レビュー・感想 ※ネタバレあり
邦題にだまされる事は幾度となくありもう慣れっこではあります。
こちらもそんな感じでだまされちゃう映画です。
ひたすらギスギスと暗く、おしゃれっぽさも「ご飯おいしそう!」な描写も一切なし。職人気質で自分にも他人にも客にも(!?)厳しいマーサが不幸な事故で姪との共同生活を開始し心が女性らしくほぐれて幸せな心を取り戻すというところに焦点を当てています。
名画『クレイマークレイマー』にそっくりなお話ですが
終盤、リナの父親が現れ、リナのイタリア移住のためマーサと2人で
リナの荷造りをしている姿がまさにクレイマークレイマーの最後に一緒に
朝食のフレンチトーストを行きぴったりに作っている姿そっくりで
オマージュにすら感じました、笑。
見終わった後
「下の階のイケメン建築士とはどうなったの?」
「なんで結局、リナはマーサとの生活を選んだの?」
とかいろいろ説明不足なところを突っ込まれそうな映画だなあとおもいましたが
「人の心は観ているだけではよくわからないもの、きちんと自分で考えてみて」と
宿題を与えられたような感じであまり説明的ではない始末のしかたが逆によかったと思います。
おそらく物語の合間合間にあらわれるセラピーのシーンは、マーサの心の変化のバロメーターのような役割だったのでしょうか。作品をうまく引き締めていて私はとても好きでした。
とにかくこの映画の見どころはマリオの人間性のすばらしさのような気がします。
マリオの話を聞いていると自分がとてもちっぽけに感じることもあり考えさせられました。
母を亡くしたショックで一切食事をしなくなってしまったリナが調理場を訪れた際、ハーブの香りを嗅がせ、心を解きほぐして食事を始めるシーンなど、マーサやリナとの交流はまさに幸せいっぱいでした。
イタリアの暖かい日差しがなくても、リナには陽気で時間にルーズだけれど
いつも真剣に人間と食に向き合うマリオと自分に良く似た素直じゃない姉のような叔母がいる
そう思います。
ad
関連記事
-
ナチュラル系雑誌の女性向け…?映画『しあわせのパン』
東京で生まれ育ち、世間にもなじめず身内も亡くし、孤独になったりえ(原田知世)を夫の水縞(大泉