友情や愛情を超えた美しいつながりに感動…!映画『ONCE ダブリンの街角で』
レビュー・感想 ※ネタバレあり
アメリカで当初は2館のみの公開が最終的には140館での上映となりヒットした映画。
アメリカでヒットした理由はやはり情熱的で美しいメロディーの音楽がアメリカ音楽シーンに合っていたからなのではと思います。
この映画の最重要の挿入歌となる「Falling Slowly」をラジオでよくオンエアされていたときはアメリカのフロリダあたりのインディーズバントの曲かと思っていました。
さて、映画の感想を…。
この映画でいちばん切なく思い出すたび胸をしめつけられるのは、若いながらもいろんなものを背負ってしまったヒロインのチェコ移民の女の子です。結婚歴があり夫とはすでに破局。子供と母親と一緒に暮し家計を支えている彼女。青年のロンドン行きの誘いも断ります。
若くしていろいろと背負ってしまい、自分勝手に夢を追うことが出来ない彼女は、自分で曲をつくっているものの、いつまでも最後までつくることができません。青年の前で自作の曲を出来ているとこまで披露しようとしますが途中で泣き出してしまいます。
彼女は献身的に青年のサポートにまわり、宣材のデモテープを完成させるとさりげなく目の前から消え、後腐れなく送り出します。
きっと彼女は彼に自分の夢を託したのでしょう。
青年はお礼に彼女にピアノをプレゼントし、ロンドンへと旅立つところで終わっていますが彼には彼女にどうしても音楽を忘れないでいてほしく、彼女自身の曲を完成させて欲しかったのでしょう。相思相愛ながらもいろんな事情で結局は結ばれなかった2人ですが、音楽で心はつながっています。
友情や愛情を超えた美しいつながりに感動しました。
アイルランドの貧しさを映し出していましたが、不幸せには見えなかったのが不思議です。待ち行く人がみな感性豊かに見え、自分なりの幸せや夢に行きている。
ラストシーンで、ピアノを弾く手をとめて窓から夕日をながめる女の子の幸せそうな顔を観ていると、私たちの暮らしている日本は豊かなようですが、はたしてそうなのかな…。と思いました。
周りの目線は気にせず、心豊かに暮らしていきたい…そう思えた映画でした。
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